大切な家族の命と健康を脅やかす、病気や感染症から守るのは飼い主様の役目です。
フィラリア感染症予防、ノミ・ダニ予防、ワクチン接種(狂犬病予防・混合ワクチン)、避妊・去勢手術など、予防で防げる病気は沢山あります。防ぐことが難しい病気でも、定期的な健康診断を行い、早期発見・診断・治療を行うことで大切な命を守ることができます。大切なご家族の健康で長生きのために、一生を通した予防医療でサポートします。
当院では、1~6歳齢は年1回、7歳齢以降は年2回の定期検診をお勧めしています。

避妊・去勢

未避妊・未去勢の犬猫のシニア期に多い病気に、メスは乳腺腫瘍・子宮蓄膿症・卵巣腫瘍など、オスは精巣腫瘍・前立腺肥大症・肛門周囲腺腫・会陰ヘルニアなどがあります。避妊去勢手術は、望まない妊娠を防げるだけではありません。早期に避妊・去勢手術をすることで、性ホルモンの影響で起こる、これらの病気を防ぐことができます。さらに、性ホルモンによる問題行動の抑制にもつながります。当院では交配の予定のない犬猫には去勢・避妊手術をおすすめしています。

避妊手術(メス)のメリット


  • 望まれない妊娠を防げる
  • 子宮蓄膿症や卵巣腫瘍など、性ホルモンに関連した卵巣および子宮の病気が予防できる
  • 早期に避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍の発症率を低くできる

※ 犬は初回発情前に避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍の発生率を0.5%に抑えられます。1回目の発情後は8%、2回目の発情後は26%に上がります。猫も早期に避妊手術を行うことで、乳腺癌の発症リスクを86~91%減らすことができると報告されています。

去勢手術(オス)のメリット


  • 望まれない妊娠を防げる
  • シニア期に起こる前立腺肥大症(排尿や排便障害などの原因)、肛門周囲腺腫(腫瘍)や会陰ヘルニアの予防ができる
  • 精巣腫瘍を防げる
  • 問題行動(犬のマーキングやマウンティング行動、猫のスプレー行動、攻撃性)を抑えることができる。

負担の少ない日帰り去勢・避妊手術に対応しています


当院では、去勢・避妊手術を行う際、高性能シーリングシステムを使用しています。
この手術器具を使った去勢・避妊手術では、お腹の中に糸を残すことがなく、出血もほとんどありません。
傷口も小さくてすみ、犬猫の負担も少ない安全な手術のため、手術後は入院せずお家で過ごすことが可能です。
手術は全身麻酔下で行います。事前予約制となります。
詳細につきましては、お気軽にお問い合わせください。

猫の避妊・去勢手術の助成金について

川崎市と川崎市獣医師会は、猫の避妊・去勢手術費用の一部を助成しています。助成金は下記の通りです。

メス猫(川崎市3,000円と川崎市獣医師会3,000円の合計6,000円)
オス猫(川崎市2,000円と川崎市獣医師会2,000円の合計4,000円)

助成金の支給は、年度予算の範囲内で先着順の交付となります。詳細はスタッフにお尋ね下さい。

犬のワクチン

狂犬病ワクチン

狂犬病予防接種と、犬の登録は飼い主様の義務です。4〜6月が予防接種月間です。病院では1年中いつでもワクチン予防接種可能です。
※川崎市登録の犬は、注射済票をその場で発行できます。接種の際は、必ず区役所から送付された封書をお持ちください。新規登録も可能です。鑑札はすぐに発行できます。

混合ワクチン

定期的なワクチン接種で伝染病を予防しましょう。
任意の予防接種となります。
【予防できる伝染病】
・犬ジステンバーウイルス感染症
・犬パルボウイルス感染症・犬伝染性肝炎ウイルス感染症
・犬アデノウイルス2型感染症・犬パラインフルエンザウイルス感染症
・犬コロナウィルス感染症・犬レプトスピラ感染症(4タイプ)

猫のワクチン

混合ワクチン

定期的なワクチン接種で伝染病を予防しましょう。
任意の予防接種となります。
【予防できる伝染病】
・猫ウイルス性鼻気管炎・猫パルボウイルス感染症・猫カリシウイルス感染症
・猫白血病ウイルス感染症・猫クラミジア感染症

フィラリア感染症予防

フィラリア感染症とは

フィラリア症(犬糸状虫症)は、蚊が媒介する寄生虫感染症です。犬は血液(抗原)検査で容易に診断できます。フィラリアは感染すると心臓や肺血管に寄生し、心臓病や血液循環障害などを引き起こします。急性の臨床症状としては、血尿や呼吸困難、突然死などです。慢性の場合は咳、運動不耐性、体重減少などです。
予防期間は蚊が活動を始めてから1ヶ月後から、蚊が活動を終えた1ヶ月後までです。当院では5月中〜下旬頃よりフィラリア予防を開始し、11月下旬〜12月上旬までが予防期間の目安となります。錠剤・チュアブル剤・注射薬・スポット剤の予防薬があります。

猫の犬フィラリア感染症にもご注意ください!

犬フィラリア症は、犬だけでなく猫にも感染します。
猫の場合もフィラリアは心臓や肺血管に寄生し、障害を起こします。しかし、犬に比べて猫はフィラリアの寄生数が少ないため、症状が乏しく、検査による診断が難しいうえ、咳や呼吸困難・嘔吐・食欲不振などの臨床症状が現れた時は命が危険な状態です。健康そうにみえても突然ショック状態となり死亡することもあります。現在のところ確立した治療法はなく、予防するしかありません。月一回のスポット剤で簡単確実に予防ができます。予防期間は犬と同じです。

ノミ・マダニ


ノミ

ノミは犬や猫の体に寄生し、血液を吸う寄生虫です。ノミ1匹の吸血量は少ないですが、子犬や子猫に大量寄生した場合、貧血の原因になることもあります。強い痒みを伴い、『ノミアレルギー性皮膚炎』を引き起こし、脱毛や湿疹などの皮膚病が見られます。さらに犬猫が痒みのためノミを食べてしまうと、小腸に瓜実条虫(ノミの体内に寄生している)が寄生し、便に虫が出たり、下痢や嘔吐などを引き起こすことがあります。
ノミは13℃あれば、活発に吸血し、寄生後24〜48時間で産卵を始め、1日最大50個もの卵を産み、繁殖します。目に見えているノミは5%ほどで、残りの95%は卵・幼虫・サナギで隠れていると言われています。冬でも、一度感染すると家の中では容易に繁殖します。ノミの予防には、内服タイプとスポットタイプがあります。当院では通年予防を推奨しています。

 

マダニ

マダニはどんな気候や場所にも対応し、全国どこにでも生息しています。とくに山林や川の土手の草むらにマダニは好んで潜んでおり、動物に寄生する機会を狙っています。マダニは顔や足先、背中などに寄生していることが多いです。マダニは皮膚炎だけでなく、原虫(犬バベシア症)や菌(猫ヘモバルトネラ症)を媒介して犬猫に貧血を起こします。さらに犬猫だけでなく、ヒトの命も脅かすSFTS(重症熱性血小板減少症症候群)ウイルス感染症を媒介します。
犬猫だけでなく、ヒトの命を守るためにも、ダニ予防もしっかりと行いましょう。予防薬には、内服タイプとスポットタイプがあります。当院では通年予防をお勧めしています。